現在アメリカ・エンゼルスで活躍する大谷翔平選手が大記録を次々と叩き出し、日本人初のホームラン王獲得へ大躍進していますね。なにかと嬉しい話題が多い野球ですが、今回はそんな野球の「アンリントンルール」について解説していきます。
「アンリントンルール」という言葉をみなさんご存知ですか?
野球が好き、野球をやっているという人だと知っているワードかもしれませんが、耳にしたことはあるけど詳しくは分からない…という方もいるかと思います。野球があまり詳しくない方は今回初めてアンリントンルールという言葉を耳にしましたよね。アンリントンルールは日本のプロ野球はもちろんですが、大谷翔平選手をはじめとした日本人選手も多く活躍するアメリカのメジャーリーグでも大きく関係のあるキーワードです。
アンリントンルールを知っておけば野球の見方も少し変わってくるかも?そしてアンリントンルールでどんな悲劇が起こり、そのルールは本当に必要なルールなのか。それではアンリントンルールについて解説していきます!
アンリントンルールって何?
冒頭でも触れましたが、アンリントンルールとは簡単に言えば「暗黙のルール」のことです。そんなルールが存在するの!?と少し驚きですよね。
野球には少年野球から高校野球、社会人野球までそれぞれの公式ルールに則って試合をしますよね。プロ野球選手ももちろん例外ではありません。公式のルールブックというものがあり、選手らは周知の上プレーしています。
そんななかで暗黙のルールといわれているアンリントンルールは、「ルールブックには無いけど守らないといけないルール」という少し複雑なものになります。アンリントンルールは実は日本で生まれたものではありません。アンリントンルールはアメリカが発祥とも言われており、アメリカのメジャーリーグの文化がしだいに日本のプロ野球にも浸透してきたのではと言われています。
それでは次にアンリントンルールにはどのようなルールがあるのか見ていきましょう!
実は日本独自のアンリントンルールも存在しています…!
アメリカ主流のアンリントンルール
- 大差がついた試合で勝っているチームはボールカウント3-0から打ちに行ってはならない。
- 大差がついた試合で勝っているチームは盗塁してはならない。
- ピッチャーの完全試合やノーヒットノーランが継続中にバントヒットを狙ってはならない。
- ピッチャーは死球をぶつけても謝ってはならない。
- ホームランを打った時、ベースをゆっくり走ってはならない。
- ホームランを打った時、派手なガッツポーズはしてはならない。
- 連続ホームラン直後の打者は初球を打ってはならない。
- 打者や走者がアウト後にベンチに戻る際にマウンドを横切ってはならない。
アンリントンルールのせいでこの後手抜きしないといけないとか、MLB大変だな
— めざらく (@mezraq) June 3, 2021
日本独自のアンリントンルール
- イニング途中で交代されたピッチャーはイニングが終わるまでベンチ裏に下がってはいけない。
- 引退試合のときは引退する打者にはストレート勝負をしなくてはならない。
- 引退試合のときは引退するピッチャーから三振をしなければならない。
軽く調べただけでもこんなにルールが存在することが分かりました。みなさんも読みながら「多すぎじゃない!?」と心の中で思った方もいるのではないでしょうか。
このアンリントンルールひとつひとつを見てみると、言わば「どの立場であっても相手を尊重しなくてはならない」「相手の嫌がることはしてはならない」と捉えられる内容が多いですよね。ですがなかには「打ちにいってはならない」「三振しなければならない」という言葉については、真剣勝負しなければ逆に失礼なのでは?と考えてしまう点もありますね。なかでも驚いたのは「ピッチャーが死球を当てても謝ってはならない」です!日本では帽子を取って謝る場面をよく見かけますが、アメリカの場合はそれがアンリントンルールに反してしまうことになるんですね。その理由としては「真剣勝負をしているのだから謝る必要はない」ということ。日本人の感覚だと謝らないほうが怒らせてしまいそうと思ってしまいますが、そういったお国柄がとって分かるルールのひとつのようです。
アンリントンルールが起こす悲劇
それではアンリントンルールを破ってしまうとどうなってしまうのか?気になりますよね。メジャーリーグで実際にあった場面を併せてご紹介します。
今やメジャーリーグでも活躍する日本人選手も多くなってきました。ダルビッシュ有選手、菊池雄星選手、大谷翔平選手がメジャーの祭典・オールスターゲームに選出されるという同じ日本人として誇らしい活躍を遂げています。そんななかでメジャーという大舞台でプレーする日本人選手らはアメリカが主流のアンリントンルールに戸惑いを見せてきました。日本ではあまり浸透していなかったアンリントンルール。このメジャーでは鉄則とされるルールを理解していなかった故に痛〜い報復を受けたことも!イチロー選手や大谷翔平選手も実は報復を受けた選手の1人。
報復というのは主に故意にぶつける死球です。バッターがなんらかのアンリントンルールに反してしまうと、次の打席もしくは後日の試合にて報復死球をぶつけられてしまいます。これがアンリントンルールの悲劇です。少し怖いですよね…。報復死球はもちろん速度の速いボールがバッターに直接当たるので危ないプレーです。この報復死球でケガをして途中退場してしまう選手ももちろん出てきます。このようにアメリカ主流のアンリントンルールは日本人には周知されていないものもあり、日本のプロ野球とのギャップに戸惑いを見せる選手も多いんですね。
アンリントンルールは必要?
現在、このアンリントンルールについて疑問を呈する発言が国内外で多くなってきました。ルールブックにはないこの暗黙のルールは本当に必要なのでしょうか。ここで、最も説得力がある元プロ野球選手2人のアンリントンルールについての見解をみていきましょう!
元ロッテ・里崎智也さんの見解
元ロッテマリーンズでは正捕手で、日本代表でも活躍した里崎智也さん。以前、日本のプロ野球界であるプレーがきっかけでアンリントンルールについて議論になったことがありました。その際、里崎さんは自身のYouTubeチャンネルでこの題材を取り上げ、アンリントンルールについて自身の見解を示しました。
里崎さんは「暗黙のルールは日本人の文化には合わない。アメリカ由来のルールであり、アメリカだからこそ根付いたルール」と、日本にはアンリントンルールのような暗黙のルールではなく、ルールブックに入れるべきだと見解しています。
元レッドソックス・上原浩治さんの見解
日本では読売巨人で活躍し、メジャーではレッドソックスでワールドシリーズ優勝も果たした上原浩治選手も同様のケースを自身のYouTubeチャンネルで取り上げ、アンリントンルールについて体験談を踏まえて見解を示しました。
「大差が何点からであるか公式ルールで決めるべき。暗黙のルールとするからよく分からないことになっている。」と見解。メジャーでは自信が実際にアンリントンルールに直面したことも。前回の試合で反則したバッターにボールを当てるよう監督から報復死球の指示を受けたこともあったと当時を振り返ります。
お二人の見解をみていくと、「暗黙のルールではなく公式ルールブックとして規則を定めるべき」という考えになりますね。ほかにもメジャーのサンディエゴパドレスで活躍しているダルビッシュ有選手は自身の公式Twitterにてアンリントンルールについての質問で、「野球なんだからその時にできるプレーをしなきゃ。暗黙の了解なんていらんでしょ。」と投手目線からアンリントンルールについて発言していました。
野球なんだからその時にできるプレーをしなきゃ。暗黙の了解なんていらんでしょ。 RT @kamechan2010: @faridyu ダルさんは、最近物議をかもした点差の開いたときの盗塁に関してはピッチャーの立場からやはり失礼って感じるのでしょうか?
— ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) June 9, 2010
まとめ:アンリントンルールについて
アンリントンルールについての解説でした。いかがでしたでしょうか。この暗黙のルールとされるアンリントンルールには、グレーゾーンなルールや個人や国の主観によって左右されるルールであるんですね。このアンリントンルールを知っていれば、プロ野球や目にすることも増えたメジャーリーグでの試合でもアンリントンルールに基づいていると理解できるプレーが増えてくるかもしれませんね。今後さらにアンリントンルールの在り方について議論される機会が増えるかと思います。今後の動向も非常に気になりますね!